大判例

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東京地方裁判所 昭和44年(借チ)1094号 決定

〔主文〕1 申立人が別紙目録(三)記載の増改築をすることを許可する。

2 申立人は相手方に対し金一〇〇、〇〇〇円を支払え。

3 本裁判確定の月の翌月から本件賃貸借の賃料を3.3平方米につき一か月金六〇円と定める。

〔理由〕一、本件申立の要旨

1 申立人は、昭和三六年六月一五日相手方から別紙目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)を非堅固な建物所有の目的、期間の定めなく賃借し、ここに別紙目紙目録(二)記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有している。

2 申立人は本件建物を別紙目録(三)記載のとおり増改築しようとしているが、相手方は、増改築の禁止の特約がないのにかかわらず、承諾しないので、右承諾に代わる許可を求める。

二、相手方の答弁の要旨

借地権の存在は認めるが、申立人は、本件土地の前賃借人から賃借権を譲受けたもので、右前契約には増改築禁止約款が存し、また期間は昭和三三年一月一日から二〇年である。

三、当裁判所の判断

1 本件で取調べた資料によれば、申立人が、昭和三六年五月一六日本件土地の賃借人であつた鈴木健三郎からその土地上の建物を借地権とともに金三八二万円で買受け、そのころ、右借地権の譲渡につき、地主の承諾をえたこと、前賃借人と相手方間の本件土地の賃貸借契約の成立は昭和三三年一月一日であり期間の定めはなく、かつ建物の増改築に賃貸人の承諾を要する旨の特約が存する各事実を認めることができ、右事実によれば、本件申立はその利益があり適法である。

しかして、申立人の増改築計画は土地の利用上および法令の制限上相当であり、他にこれを不当とする事由はない。そこで、本件増改築は許可すべきである。

2 附随の処分について検討する。

鑑定委員会の意見の結論は、「(イ)地代の増額分を五円とする意見と(ロ)増額分を一五円とする意見がある。財産上の給付額としては金一〇万円を相当とする。」というにある。

ところで、増改築の許可の裁判は、当該増改築につき増改築制限特約を一時的に排除するものであり、財産上の給付額は、右裁判によつて受ける賃借人の利益のうち、賃貸人の蒙むる不利益の限度によるべきである。これを本件においてみるに、本件資料によれば、本件増改築計画には、移築改築する部分が存するが、これらの部分は建材を新たにすることにより、既存建物を強固にするもので、建物の朽廃時期を遅らせ、地主の借地権消滅の期待を減じさせる不利益を与えるので、これを調整するため、申立人に財産上の給付をさせるべきであり、その額は、本件増改築が、本件建物全体からみれば小部分であることを考慮し、鑑定委員会の意見のとおり金一〇万円(更地価格の約0.68%)とするのを相当とする。

賃料は、昭和四四年四月改訂されたものであるが現段階ではやや低額であるので、従前の賃料改訂の経過、物価指数を考慮のうえ、本裁判確定の翌月以降3.3平方米当り金六〇円に改めることとする。(右改定により賃料の底地に対する年利廻りは1.2%となり東京都内の標準値内にあるうえ、近隣の地代と比べても不相当でない。)(筧康生)

目録

(一) 土地

東京都世田谷区弦巻四丁目三八番四

宅地(登記簿上は山林)

647.93平方米のうち

241.32平方米

(二) 現存建物

1 東京都世田谷区弦巻四丁目三八番四

(家屋番号三八番四ノ一)

木造瓦葺二階建居宅 一棟

一階 57.85平方米

(17.5坪)

二階 18.18平方米

(5.5坪)

2 同所同番地

(家屋番号三八番四ノ二)

一、木造亜鉛メッキ鋼板葺二階建事務所

一棟

一階 19.83平方米(六坪)

二階  9.91平方米(三坪)

(附属)

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建工場 一棟

44.62平方米(13.5坪)

(三) 増改築計画

1 前記(二)の1の建物の二階の物入便所部分を改築し、和室(六畳)押入部分を増築(増改築面積14.87平方米)する。

3 前記(二)の2の建物中事務所部分の二階に9.91平方米を増築し、一階の便所、流し、階段を取りこわし移築する。

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